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第104話 粉砕された虚栄と、凍てつく靴音②

Author: 花柳響
last update publish date: 2026-04-30 06:01:52

 理恩の手の甲には、まるで見えない毒にでも侵されたかのように、霜がびっしりと降りていた。彼の白い肌がみるみるうちに血の気を失い、青黒く変色していく。

 他人をコントロールすることしか考えていなかった彼から、今、自分の身体を動かすという最も基本的な自由すら奪われていた。

 解放された私は、絨毯の上に崩れ落ちるように膝をついた。

 散らばった硝子の欠片が膝の皮膚に触れ、チクリと小さな痛みが走る。

 だが、その痛みよりも先に、目の前の光景から目が離せなかった。

 理恩は、這うようにして私から距離を取り、背後の壁に背中を激しく打ち付けた。

 彼の端正な顔は見る影もなく引き攣り、額からは滝のような冷や汗が流れ落ちている。

 口をパクパクと金魚のように動かしているが、もはや言葉の形すら成していない。ただそこに存在するだけの「圧倒的な質量の差」を前に、理恩は本能的な恐怖で完全に呼吸の仕方を忘れていた。

 ジャリッ。

 黎様が、もう一歩、室内へと足を踏み入れる。

 頭上の巨大なクリスタルシャン
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